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『ゴーレム100』

『ゴーレム100』
“GOLEM100”
アルフレッド・ベスター 著
渡辺 佐智江 訳
国書刊行会
未来の文学


 書くのが難しいのであらすじ割愛。タイトルの『ゴーレム100』は、正しくはゴーレム百乗と表記されてます。ゴーレム^100 ゴーレム100

一言感想:書いた人出版した人訳した人皆すげえ。
面白さ:☆☆☆☆☆

 最高にぶっ飛んでて最悪に下品で最強のSF小説です(褒め言葉
 いきなり登場するブッ飛んだ8人が悪魔を呼び出そうとして<ガフ>に大事件を巻き起こすお話なのですが、楽譜に音符の代わりに文章をぶち込んでみたり、お薬でトリップしている場面を何ページにも続けて絵を入れて表現したりしています。
 意味不明な絵を続けて入れたかと思えばそれにしっかり意味を与えてしまったり、恐ろしい作品です。
 絵を見てるだけでも楽しいです。突然アメコミ調になったり。

 そして、この作品の一番凄いところは、色々な手法と話のネタを盛り込みながら、読むのが苦にならず話に引き込まれるところでしょうか。意味が解らないところも多いのに読みやすい。一気に読めてしまいます。

 ただし、読めばはまること請け合いですが、人に薦めるのには勇気がいりますね。
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テーマ : SF小説 - ジャンル : 本・雑誌

『ゴールデン・フリース』

『ゴールデン・フリース』
“GOLDEN FLEECE”
ロバート・J・ソウヤー 著
内田 昌之 訳
早川書房
ハヤカワ文庫SF



 スターコロジー<アルゴ>は、地球から47光年離れたエータ・ケフェイ星系のコルキスを目指す宇宙船である。その中では、一万人を越える人が生活している。
 船の全機能を管理する第十世代の人工知能イアソンが、ある事実に気づいてしまったダイアナを殺す。事故か自殺か殺人か? 離婚をしたことが原因の自殺ではないかという意見が多い中、元夫のアーロンは疑念を抱く。
 しかし、犯人は船の全てを管理するイアソン。はたしてその謎はとけるのか。人間への反乱ではなく人間を殺したイアソンの目的はどこにあるのか?


一言感想:スケールの大きなSFならではのホワイダニット。
面白さ:☆☆☆☆☆

 
この作品はイアソンの一人称小説です。ですが、イアソンは艦内のいたるところにカメラやマイクを持ち、搭乗者すべての心拍数や脳波を把握しているという神に近い視点をもっています。一人称小説でありながら、三人称小説のように他人の行動も描写できるのです。そして、人工知能だけに通常なら「~はしばらくしてから話し始めた」となるところが「~は八秒してから話し始めた」となります。
 そういった手法をうまく使い、人工知能でありながらユーモアを持った魅力的な語り手を作り出しています。
 結末は、人間の側から見るかイアソンの側から見るかでかなり印象を変える真実とホワイダニットの答えが提示されています。

テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌

『馬鹿★テキサス』

『馬鹿★テキサス』
“BUCK FEVER”
ベン・レーダー 著
東野 さやか 訳
早川書房
ハヤカワ・ミステリ文庫


 二人のマヌケな密猟者が放った弾丸によって事件は幕を開ける。(密猟者本人の)通報を受けて現場に駆けつけた狩猟監督官マーリンが発見したのは、鹿の着ぐるみを身に着けた男と、珍妙な挙動の牡鹿。牡鹿を麻酔で眠らせ、連れ帰ったマーリンは、その鹿に見覚えがあった。親友のフィルが牧場を持っていた時代に育てた鹿だったのだ。
 しかし、元ロビイストの牧場主、ロイがその鹿を取り返そうとしていた。その鹿には秘密があったのだ。
 事件の幕を開けた小悪党二人、ロイの事業相手のコロンビア人オスカーとその手下などが入り混じって、鹿と麻薬をめぐっての大立ち回りが始まった。


一言感想:タイトルと表紙がぶっとびすぎ。
面白さ:☆☆☆

 タイトルと表紙のパワフルさに思わずジャケ買いしました。『馬鹿★テキサス』って! 表紙も謎の世界で素敵!
 が、タイトルと表紙のノリを期待して読み始めると、話自体はそこまでぶっとんでません。
 ユーモアも交えつつ、それなりに真面目なお話が展開されます。主役のマーリンや親友のフィル、保安官助手ボビーなどが真面目に話を引っ張ってゆくのでそこまでぶっとばなかったのでしょうか。その分、敵対するロイやマヌケな密猟者二人組み、オスカーなどのキャラたちがいい味出してます。
 表紙の素敵な意味不明加減も読んだら理解できるかと思いきや、あんまり理解できません。最初の、鹿の着ぐるみを装着した学者が牡鹿に襲われて…のあたりと、ラストはなかなかいいのですけどねー。というか、作者はそこが書きたかったのではないかと思ったり。
 とりあえず、日本のタイトルと表紙が微妙に間違った方向にぶっとんでますよ! 本屋で、買わずとも手にとってみることをオススメします。

テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌

『湖中の女』

『湖中の女』
“THE LADY IN THE LAKE”
レイモンド・チャンドラー 著
清水 俊二 訳
早川書房
ハヤカワ・ミステリ文庫


 実業家に妻を捜して欲しいと依頼されたマーロウは、彼の別荘地の湖で水に浸かった女の死体を発見する。さらに、実業家の妻に関わっていた男が殺される。
 マーロウの調査は終わらない。

一言感想:どこが悪いとかじゃないのだけれど、全体的に単調な気が。
面白さ:☆☆

 マーロウの言動は難解なところが多いのですが、それをかっこいいと感じるか意味不明だと思うか結構紙一重だと思っています。もちろん、受け取り手によって変わると思いますが。
 『湖中の女』ではちょっと意味不明に感じました。
 真相も想像がつく部分が多く、そこまで物語に入り込めていないので特に思うところも無いです。
 ただ、『長いお別れ』や『大いなる眠り』を読んでしまっているので、そのレベルの作品を期待して感想が辛くなっている
部分もあるとは思います。

テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌

『幻の女』

『幻の女』
“PHANTOM LADY”
ウイリアム・アイリッシュ 著
稲葉 明雄 訳
早川書房
ハヤカワ・ミステリ文庫

 酒場でたまたま会った女と食事をし、ショウを見たスコット・ヘンダースンが家に帰ると妻が殺されていた。離婚の問題で揉め、その日も言い争いをしていたため、スコットは逮捕されてしまう。女の証言があれば嫌疑は晴れるのだが、スコットは女について思い出せることがほとんど無い。犯行日の行動をたどってみると、酒場やレストランでは、スコットは記憶されているにもかかわらず女に関しては「いなかった」という証言しかでない。獄中のスコットは、親友のジャック・ロンバードに女を捜すことを依頼するのだが……。


 スコットの行動からすっかり女が消えうせ、理由のわからぬまま緊張感をあおられる前半と、死刑執行が迫る中、少しの手掛かりから女を探そうとするロンバード(とスコットの愛人キャロル)の奮闘が描かれる後半から構成されています。
 後半では、スコットはほとんど登場せず、ロンバード達が「死刑執行前 ~日」という章題の日数がどんどん減る中、手掛かりの人物に接触すると死んでしまうという異様な展開になっています。裏に謎の男の影がちらつき、何か大きい存在を感じさせます。
 緊張感と恐怖、そこにどんでん返しが加えられ、人気の高さも納得。

テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌

『夢遊病者の姪』

『夢遊病者の姪』
“THE CASE OF THE SLEEPWALKER'S NIECE”
E・S・ガードナー 著
宇野 利康 訳
早川書房
ハヤカワ・ミステリ文庫

 夢遊病で殺されるかもしれないことを理由に離婚訴訟を起こされ、それが進行中の老人ピーター・B・ケントが再婚を考え始めると、途端に訴訟取り下げの申請がなされた。さらに、ピーターと共同経営の関係にあるマドックスに訴えられそうになっていた。ピーターは姪のエドナ・ハンマーの忠告でペリイ・メイスンに弁護を依頼した。ピーターの邸宅へ向かったメイスンはマドックスとその弁護士ダンカンと対決する。結論を翌日に延ばし解散した後、離婚訴訟のほうの手を打つメイスン達。ピーターと再婚予定の相手は翌日早く出かけることになる。さらに、エドナの婚約者ハリスは離婚訴訟の相手、ドリスを見張るために出かける。
 翌朝、ピーター達は出かけるが、夢遊病を懸念したエドナとメイスンは、ピーターの枕の下から血だらけの肉切りナイフを発見する。そして、ピーターの異母弟の死体が発見される。


 弁護士ペリイ・メイスンが活躍する法廷ミステリの傑作です。
手に汗握る法廷での対決!
複雑さの増してゆく話が、法廷で解き明かされる快感!

法廷シーンは本当にかっこいい。デラじゃなくてもメイスン先生にメロメロですよ。

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『怪盗ニック登場』

『怪盗ニック登場』
“ENTER THE THIEF”
エドワード・D・ホック 著
小鷹 信光 編
木村 二郎 他訳
早川書房
ハヤカワ・ミステリ文庫

 ニック・ヴェルベットを主人公とした短編集です。
 ニックは依頼を受けて「価値の無いもの」を盗む怪盗であり、金銭、宝石、美術品などは盗まない。依頼料は2万ドル。破格とも言える額だが、依頼人は後を立たない。
 彼に来る盗みの依頼は、大リーグひとチームやSATOMEX社のビルに取り付けられた真鍮の社名からS,E,Xだけを盗むなどのユニークなものばかり。
 そして、一見価値が無いものでも、依頼がくるからには相応の理由がある。


 どうやって対象を盗むかというと、ニックの手段は割と強引です。では何故それを盗むかというところに謎があります。
 価値のなさそうな物を盗むのは何故か。
 その理由が、ひねりも利かせて解き明かされます。
「真鍮の文字」「からっぽの部屋」は個人的にお気に入りです。

テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌

『犯人にされたくない』

『犯人にされたくない』
“MURDER”
パーネル・ホール 著
田中 一江 訳
早川書房
ハヤカワ・ミステリ文庫

 前回の事件の後、事故調査の私立探偵を辞め、夢である作家に向けて進みだしたスタンリーだったが、息子が私立の幼稚園に通うことになり、文筆業は学費が払えず元の仕事に戻ってしまった。川に投げ捨てたポケベルはローンで買い直す破目に。
 そんな折、息子の幼稚園の友人の母親から依頼をされる。ある事情から自分の意思に反して売春に手を染めることになったパメラは、常々足を洗いたいと考えていた。しかし、ポン引きに隠し撮りされた写真とビデオを握られていてそうもいかないのであった。
 仕事の合間にポン引きの家へ行ったスタンリーは、荒らされた部屋とポン引きの死体を発見する。そして、件のビデオも。
 一計を案じ、ビデオを隠し自分がその家へ行ってもおかしくない状況を作ってから警察へ通報するが、ちょっとした手違いもあり疑われるスタンリー。パメラを表に出さないためにビデオも渡せず本当のことも喋れないまま、警察の尾行も引き連れて捜査を開始するのであった。


 前作でもそうですが、ポケベルが作中に何度も登場して、大活躍(?)しています。時代は変わるなぁと実感させられます。
 私立探偵スタンリー・ヘイスティングズは、少しだけ探偵姿も板についていますが、やはり(本人も言っているように)臆病でちょっと情けないのです。奥さんに頭が上がらず、ハーレムに行くたびにビビッてます。警察も怖い。
 警察やガタイのいい男や議員を相手に、表面上は冷静に立ち回りながら、心の中では焦ってるスタンリーは、ちょっと笑えてかなり共感できるんですよね。同じ状況下には置かれたくないですけど。

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『砂漠で溺れるわけにはいかない』

『砂漠で溺れるわけにはいかない』
“WHILE DROWNING IN THE DESERT”
ドン・ウィンズロウ 著
東江 一紀 訳
東京創元社
創元推理文庫

 朋友会から労働能力を失ったと判断され退職したニールは、カレンとの結婚をひかえ幸せに暮らしていた。そこにグレアムからの電話が。またもや朋友会から仕事を依頼されてしまう。
 今回の仕事は、ラスヴェガスへ家出した往年のコメディアン、ネイサンを連れ戻すこと。居場所は判明している上、監視もついている。老人に会うのは簡単だった。しかし、相手は一筋縄ではいかなかった。
 ニールの手を逃れる老ネイサン。彼は何故ラスヴェガスへ行ったのか。何故帰ろうとしなかったのか。その裏には、保険会社を相手に訴訟を起こし、金を奪う悪党の姿があった。
 饒舌でパワフルなネイサンと、子供を欲しがるカレンの間で振り回されるニール・ケアリーの苦労はまだまだ続く。


 今回の話は、後日談的な作品であるということで、話の展開具合が前の4作に比べると小さめです。遠くの土地へ飛んだりもしなければ、巨大組織に立ち向かったりもしません。
 しかし、ネイサンとカレンとホープがいい味出してます。今まで重要な役を担っていたエド・レヴァインやイーサン・キタリッジは名前が出てくるくらいで、グレアムもあまり登場しません。そしてニールも得意の探偵術を活かす舞台がなく、大の苦手の荒事で散々な目に。
 まぁ、そこがいいんですけどね。このシリーズ、分類的にはハードボイルドになるのでしょうか。ハードボイルドというと主人公がタフで行動力があり…という印象がありますが、主人公の内面を描いているという意味ではハードボイルドの一種なのだと思います。もちろん、ニールは決めるところは決めるのでやっぱりかっこいいんですが。等身大のヒーローって感じがします。

 あとがきを読むと、作者はこのシリーズを再開する予定があるとのことですが、今のところニール達の活躍も本書で読み納めです。翻訳は『ストリート・キッズ』から13年ほどかかって『砂漠で溺れるわけにはいかない』が出ていますが(原書はほぼ1年ペースで出てたようです)、読み始めたのが最近だったので間を置かず読めたのは幸せですね。でも、逆に13年間続きを悶々と待ちながらニール達につきあうっていうのも楽しそうな気がします。

 兎にも角にも、シリーズ通してかなりオススメです。

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『赤い館の秘密』

『赤い館の秘密』
“THE RED HOUSE MYSTERY”
A・A・ミルン 著
大西 尹明 訳
東京創元社
創元推理文庫

 赤い館に住むマーク・アブレットの兄、ロバートが15年ぶりに帰ってくることになったようだ。ロバートは、ヤクザ者としてマークからも疎まれている。館への招待客がゴルフをしている間にやってきたロバートは、事務室へ通される。
 そして銃声が館に響く。その直後、招待客の一人、ベヴリーを訪ねてギリンガムがやってくる。マークのいとこであり館の管理人であるケイリーと共に、閉ざされた事務室を調べるギリンガム。館の裏の窓から部屋に入ると、頭を撃ち抜かれたロバートが倒れていた。マークの姿はない。
 ゴルフから戻ったベヴリーをワトスン役に、ギリンガムは探偵役を開始するのであった。


 作者はくまのプーさんの原作者の方らしいです。
 テンポよく解りやすく話が進みますが、訳されたのが1959年ということもありちょっと読みにくいところもあります(そもそも原作は1921年に出ているようですが)。
 題材は殺人事件ですが、ギリンガムとベヴリーは明るい雰囲気を持っていて、どこか楽しそうだったり。
 「赤い館」が舞台なのですが、館を舞台にした作品の持つような雰囲気があまり無く、クローズドサークルの緊張感はありません。最初はベヴリー以外の招待客が4人いたのに、事件が起こると早々に館から去ってしまい、事件に直接関係のある登場人物が少ないので、犯人当ての楽しみはないです。
 トリックも終盤近くなるとなんとなく想像がつきますが、それは情報の出し方が上手いからだと思います。

 いくつか不満点もありますが、スッキリした読後感で、ミステリ初心者の方にオススメだと思いました。

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『探偵になりたい』

『探偵になりたい』
“DETECTIVE”
パーネル・ホール 著
田村 義進 訳
早川書房
ハヤカワ・ミステリ文庫

 私立探偵とは言っても、スタンリー・ヘイスティングズの仕事は弁護士の代わりに事故現場の調査をすることである。もちろん銃など持っていないし、喧嘩などしたこともない。物語で描かれる、タフで行動力のある探偵とは大違いなのだ。
 そんなスタンリーの事務所に、何を間違えたか依頼者がやってくる。しかもその依頼とは、殺人の手助けをして欲しいというもの。当然そんな仕事を請ける気もないが、とりあえず男の話を聞くスタンリー。
 男は、違法カジノで作った借金があり、カジノの関係者に麻薬の運び屋をやらされていた。そこで、麻薬を一部ちょろまかしたことがばれて、自分が殺されそうだと告げる。最初に殺人がしたいといったのは言葉のあやで、スタンリーにボディーガードのような役割をして欲しいと頼んだ。
 スタンリーは自分の仕事を説明し、それは自分に適した仕事ではないと男の依頼を断った。
 だが翌日、依頼者の男が死体となって発見される。スタンリーは、その事件に関して調査を始めるのであった。

 
 控えめで普通のどこにでもいそうなおじさん探偵、スタンリーが麻薬組織に立ち向かい活躍する話です。ハードボイルドな探偵ならすぱっと行動しそうなところでちょっと悩んでみたり、家族を養うために仕事を放り出せなかったり、ある意味でもどかしいのですが、そこがスタンリーの魅力でもあります。
 ちょっと情けなくて、だからこそかっこいいスタンリーを思わず応援したくなります。

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『シンデレラの罠』

『シンデレラの罠』
“PIÈGE POUR CENDRILLON”
セバスチアン・ジャプリゾ 著
望月 芳郎 訳
東京創元社
創元推理文庫

 目が覚めるとベットの上で記憶を失っていた。火事に巻き込まれ、火傷と怪我が身体に刻まれている。
 周囲は私を億万長者の相続人であるミシェールだと言う。しかし、記憶は戻らない。
 私は誰なのであろうか?


 断片的で解りにくい情報が次々と与えられ、混乱しました。そして、眠かったです(何だその感想
 これで、もう少し厚かったら読むのを辞めていたかもしれませんが、薄いので何とか読み進めました。

 章が変わる毎に主人公の立場が曖昧になり、自分だけでなく周囲も私が誰だかわからない。
 個人的にとても読みにくいと感じたのですが、それでも読み進めるごとに先が気になります。

テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌

『ウォータースライドをのぼれ』

『ウォータースライドをのぼれ』
“A LONG WALK UP THE WATER SLIDE”
ドン・ウィンズロウ 著
東江 一紀 訳
東京創元社
創元推理文庫

 ネヴァダの片隅「孤独の高み」で出会ったカレンと幸せに暮らしているニールを、またしてもグレアムが訪ねてくる。今回の仕事は、ケーブルテレビの株主であり夫婦でテレビ番組の司会を務めるジャック・ランディスにレイプされたというポリー・パジェットに、正しい英語を教え込むこと。
 頭を抱えながらニールは仕事を始めるが、マイペースなポリーにかかっては中々前に進まない。
 さらに、ジャックの妻キャンディが現れ、カレン、ポリー、キャンディの結束にニールの頭痛の種は広がるばかり。
 その裏では、ポリーを始末しようとする刺客や、ポリーにヌードモデルを依頼する探偵がニールの住処へと近寄っていた。


 この作品では、ポリーの喋るめちゃくちゃな英語が、方言で表されています。まるで『吉里吉里人』でも読んでいるようで、笑えます。そのことも合わせて、前三作と比べると、ユニークな色合いが強い作品になっています。
 もちろん、物語の構成も前三作に遜色なく豪快で巧妙。多人数からの視点を駆使して、いくつもの線を一つのストーリーに纏め上げています。
 これまでの三作にあった切なさの要素は減っていますが、その分ユニークさに磨きがかかっています。

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『雨の午後の降霊会』

『雨の午後の降霊会』
“SÉANCE ON A WET AFTERNOON”
マーク・マクシェーン 著
北澤 和彦 訳
東京創元社
創元推理文庫

 霊媒のマイラ・サヴェジには実際に霊能力があった。彼女と夫は、誘拐した少女をその力によって発見したように見せかけ世間に名を知らしめようと計画した。大衆はすぐに忘れたとしても、真の能力者は彼女の名前を覚えるであろうことを期待して。
 少女の誘拐は上手く行き、計画の達成に近づく二人であったが、計画を立てることと実行することは違う。計画の崩壊は徐々に進んでゆくのであった。


 誘拐をする側の心理が描かれています。少しずつ破綻してゆく計画の行方が気になって目が離せません。
 そしてラストは「まさか?」と「やめろ」と「一気に行け!」の入り混じった感覚が味わえます。

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『高く孤独な道を行け』

『高く孤独な道を行け』
“WAY DOWN ON THE HIGH LONELY”
ドン・ウィンズロウ 著
東江 一紀 訳
東京創元社
創元推理文庫

 中国政府の監視下の元、伏虎寺で暮らすこと三年。ニールを訪ねてグレアムがやってきた。中国政府とも話がつき、アメリカへ帰れることになったらしい。しかし、ただで帰れるわけがない。ニールは新しい仕事に就くことになった。
 離婚した男に連れて行かれた息子を取り戻して欲しいという依頼は、一見簡単な仕事であった。しかし、その裏にはカルト宗教の影がちらつき、ニールはネヴァダの奥地『孤独の高み』で潜入工作を行うことになる。


 前二作ではたとえ任務に支障をきたすとしても自分の心を隠しとおせなかったニールも、今回は任務のために冷たくなります。それでもやっぱりニールはニール。繊細な心は健在です。
 この話では、グレアムやエドもニールのサポートをしています。(少なくとも口先では)反目しあっていたニールとエドの関係も、ニールの成長と共に良い方向へ向かっています。そして、エド大活躍です。
 三年間武術の修行をしても、ニールは荒事に弱いです。ですが、見せ場もしっかりあって、ニールの成長も楽しめる一作です。

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『料理長が多すぎる』

『料理長が多すぎる』
“TOO MANY COOKS”
レックス・スタウト 著
平井 イサク 訳
早川書房
ハヤカワ・ミステリ文庫

 ネロ・ウルフとアーチー・グッドウィンのコンビは、五年に一度開かれる、15人の高名な料理長の集いに招かれた。
 味ききの勝負の最中に、一人の料理長が殺された。さらに、ウルフは銃撃されることにもなってしまうのであった。


 出不精のウルフが冒頭から列車に乗せられています。このシリーズ、もちろんミステリの手法も楽しめるのですが、やはりウルフとアーチーの名コンビの活躍に目が行ってしまいますね。

 私の頭では、登場人物が多いことと、多くの人の職業が同じであることから、名前がでても誰だか覚えられません。

 ちなみにこの作品、料理に関する記述が多いのですが、高級料理など食べたことの無い身には異次元の話に感じられます。話の本筋とは別のところでいまいち楽しみきれなかった作品です。

 ただ、最初から外出し列車に苦しむウルフ、銃撃されて傷を負うウルフなど見所いっぱいですね。

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